長いこと、地元に住み続けて、今だによくわからない
「茅ヶ崎ブランド」「湘南ブランド」という言葉。
たぶん、地元住民にとっては、湘南は湘南で、
茅ヶ崎は茅ヶ崎なだけ、の話だと思う。
茅ヶ崎なんて、鎌倉の古くからの住民から見たら、
昔から、それはもう地の果ての田舎なんだから...ホント(笑)
だけど、古都鎌倉に住むのは、それなりの大変さやルールがあって、
むしろ住民意識の高さで(それが排他的であるように見えても)守られているものがあると思う。
2014年に鎌倉市が売り出した「鎌倉の海岸の命名権」を、鳩サブレーの『豊島屋』が買い取って、昔からの名称「由比ガ浜 海水浴場」などをそのまま残した。
鳩サブレー社長の粋なはからい、という意見が大多数だった。
「サザンビーチちがさき」は、1999年に茅ヶ崎市観光協会が「茅ヶ崎海水浴場」から改名した。(と、なっているけど、茅ヶ崎市役所が改名している。どっちでも同じですが。)
「サザン(Southern)」は、「南の」という英語の代名詞なので、誰が使っても差しつかえないし、自由に使える。でも、どう考えたって、茅ヶ崎市での「サザン」は「サザンオールスターズ」にあやかっている。
茅ヶ崎市役所の安易なサザンの使用は、まったく粋でないと思う。
柳島の「道の駅」にまで「サザン道の駅」とつけて、仮称とはいえ、節操がないと市民に言われている。
不動産屋がブランドと言ってるだけ
一時期、マンションの広告には、「湘南ブランドの発信地である茅ヶ崎」などの言い回しが、毎度のごとく登場した。
今では「茅ヶ崎ブランド」と聞くと、不動産屋かマンションの宣伝しか頭に浮かばない。
まるで実態のないイメージが、都合良くデコレーションされて使い回されているだけ。
ひと昔前なら、存在していた「茅ヶ崎のイメージ」「湘南のイメージ」は、すでに遠い、遠い過去のもの。
みどりの濃い松林の香りも、潮の香りも、砂浜も、なにも残ってないじゃない。
残っているのは、手あかのついた言葉だけ。
企業広告や、不動産にイメージだけを使って、見るも無惨に、茅ヶ崎の自然や景観は破壊されていく。
市長も議員も、みどりや景観を残す規制が後手、後手にまわり続けた。
だから、茅ヶ崎は狭い路地に、面白いように小さな家がぎっしりと建てられた。
そして、大地震のときには、県で最大の延焼火災地域になってしまった。
市長も、議員も、企業もなぜ「茅ヶ崎ブランド」「湘南ブランド」と、口にできるのか、分からない。
茅ヶ崎を、私たちに返してほしい。
(と言ってみても、もう何も残ってないけどねえ・・・)
「鎌倉ブランド」という言い方はほとんど聞かないでしょう。言う必要もないし、鎌倉は、鎌倉。
茅ヶ崎は、街の歴史が土建色だから、ほんとうの意味で文化が育って、根付いてないのかもしれない。
「ホノルル姉妹都市提携で、街のブランド力を上げる」なんて、恥ずかしいから言わないででほしい。
今年3月にクローズしてしまった「茅ヶ崎ゴルフ倶楽部」。
ラチエン通りの住宅地に囲まれた、たぶん、昔の茅ヶ崎の面影が残っている場所のひとつ。
9ホールの小さなゴルフ場だけど、50年以上の歴史と、高松宮さまの始球式、プロが絶賛する地形を生かした上田治の設計コース。
海岸の強風に耐えて育った松が、とても美しい。
そういった雰囲気を壊して、不動産事業者が密集した住宅を建て、商業施設を作り「茅ヶ崎ブランド」だと言って売るのだろうか?
笑っちゃうなあ。
そこには、かつてあった、防風林、防砂林、防音林の役目をしていた松林もない。
堂々とした茅ヶ崎の立役者(美しい海岸と松)は、とっくに姿を消して退場してしまった。
だから、「茅ヶ崎ブランド」なんて、ある訳ない。