温水プールのガラスが割れた「破片調査の結果」  

突然、割れ落ちたプールのガラス

6月27日、茅ヶ崎市の屋内温水プールで大型のガラス窓1枚が割れて落下し、破片で小学生5人が軽傷を負う事故が発生した。

市は、プール周囲上部のガラスを全て交換するなど修繕工事を施し、1カ月後に営業を再開したが、原因はいまだ不明。

茅ヶ崎市は現場に残った破片を回収して、ガラス破片の調査を製造会社に依頼した。
 
同プールは2010年3月にオープン。
1階に25mプールと子どもプール、ジャグジー式採暖プール。
2階はトレーニングルームと会議室。
公益財団法人 茅ヶ崎市文化・スポーツ振興財団が管理運営している。


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板で覆われているのが、割れたガラス部分

原因は特定できていない

市のスポーツ健康課によると、「プール北側の非常ドア付近の、上方3メートルの強化ガラス1枚が突然割れた。」

粉々になった破片が屋内・屋外の半径約2メートルの範囲に落下。プール内にも飛散し、利用客約120人のうち小学生5人が擦過傷を負った。

屋内落下地点は子どもプールのすぐそばで、子どもたちはプール内か周辺にいたとみられる。駐車場に面した屋外には植え込みがあり、けが人はなかった。

市スポーツ健康課は原因について、
「特定できていない。監視カメラで見る限り、投石など何らかの物体がガラスに当たった形跡はない」としながらも「経年で目に見えないような細かな傷がつき、張力が耐え切れなくなって割れたと考えられる」とコメントしている。 

★ガラス新聞 より
http://homepage3.nifty.com/glass-news/




ガラスの調査結果は、市のHPに公表せず

そのあと、茅ヶ崎市は現場に残った破片を回収して、ガラス破片の調査を製造会社に依頼しました。
9月1日に調査結果の報告書を、市役所は受け取っていますが、市のHPには発表されていません。 


今回の事故で割れたガラスは、耐熱強化ガラス 厚さ6・5ミリ 
寸法 横968ミリ × 縦2327ミリ( 重量37・3kg )
出荷時期は2009年12月。

強化ガラスが割れるメカニズムとしては
1.物体の衝突による破損(外部要因)
2.キズの進行による破損(不意の破損)

今回の事故は、現場状況から、外的な衝撃を受けた形跡がなく「不意の破損」の可能性があるため、回収できた破片について調査を行ったということです。


★調査方法などについては、こちらの熊本の事例が似ています。
http://www.qsr.mlit.go.jp/n-event/kenkyu/pdf/v-5.pdf 


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温水プールのガラス破片

破損原因の特定はできなかった

「ガラスの破損の始発点となる破片」を、回収した破片の中から見つけて組成分析をおこない、微小の異物(硫化ニッケル)があるかなどを調べたものです。


《調査報告まとめ》

今回の耐熱強化ガラスの破損は、現場の状況から不意の破損の可能性が高いと考えられますが、回収した破片の調査では始発点と思われる破片が発見できなかったため、破損原因の推定には至りませんでした。


回収したガラス破片を1ヶずつルーペで調べたが、温水プールの現場では、全体の約80%の破片しか回収出来ず、「破損始発点と思われる破片を発見できませんでした。よって、破損原因の推定には至りませんでした。」という市の調査結果でした。

事故後に「合わせガラス」に交換したが

事故後、市当局は市内のガラス店に、随意契約で修繕工事を発注した。

プール2階部分のはめ殺しの強化ガラス76枚を、全て合わせガラスに交換し、1階部分の強化ガラス22枚には飛散防止フィルムを貼った。

総事業費は約900万円。
工事は7月28日に完了、31日から通常通り営業を始めた。


市スポーツ健康課長は
「原因究明はもちろん大事で警察にも協力している。一方でプールを一刻も早く再開して欲しいという要望もあった。合わせガラスの安全が100%でないにしても、合わせなら割れても破片が飛散しにくいとの判断もあり、再開に踏み切った」 


それでは、なぜプール設計段階の初めから「合わせガラス」にしなかったのでしょうか?

温水プールは、建築面積にたいしてガラス部分の比率が高い公共施設になっています。設計段階での、市の安全対策への姿勢が改めて問われている部分です。
 

★ガラス新聞によると

「強化ガラスは、事故時には一瞬にしてガラス全面が細かく粒状に砕け散る特性がある。板硝子協会などによると、ガラス表面の傷やごくまれに残存する不純物などに起因する傷が成長して、外力が加わっていない状態でも不意に破損することがあるという。
このため「強化ガラスの特性を理解し、使用部位に応じた品種・構成の選定ならびに、万一の破損時における落下防止対策を十分検討しておくことが必要」としている。

また、日本建築防災協会が作成した「安全・安心ガラス設計施工指針」によると、設計施工指針はメンテナンス上の注意点として「保守点検が日常的にできない箇所やガラスが脱落し人がけがをする恐れがある部位では、合わせガラスを推奨する」と提言している。
http://homepage3.nifty.com/glass-news/


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