ひとり当りの安全面積を、2㎡から1㎡に
現場の消防とのあまりの温度差に、ほんとうに住民は驚いています。
災害に真摯に向き合わず、机上で、数字をいじったり、文言を変えて操作したりする神奈川県の行政職員(財産経営課)に、オリンピックに舞い上がっているのか、市民(県民)の命を最優先に考えない県知事に。
平成28年2月19日に、神奈川県が茅ヶ崎ゴルフ場の事業提案を募集するにあたって「募集要綱」を発表しています。
この「募集要項」では、次のことが必須事項になっています。
ここに、周辺住民にとって、たいへん問題となっている、数字の操作があります。
★延焼火災からの避難空間として、約6万人分の広域避難場所を確保する(最低6万㎡以上)
神奈川県の「広域避難場所の指定基準」では、
ひとり当たりの必要面積は2㎡。
「茅ヶ崎ゴルフ場」は住民6万人を収容します。
6万人を収容するなら、2㎡×6万人=12万㎡が必要です。
茅ヶ崎市の住民6万人分に必要な、広域避難場所の安全面積は、12万㎡なのです。
ところが、県は「最低6万㎡以上」としています。
面積が半分、最低面積を6万㎡としたということは、1㎡×6万人=6万㎡ 。
つまり、県はひとり当りの必要面積を、2㎡から1㎡に減らして計算していることが分かります。
しかし、1㎡に減らすのは「期待する避難住民の収容数に満たず、加えて他の避難地を選定することが不可能なとき」です。
茅ヶ崎ゴルフ場には、すでに「6万人分に必要な12万㎡以上の安全面積がある」ので、1㎡ は適用できません。
今現在まで、茅ヶ崎ゴルフ場では(1人2㎡で計算している)6万人を収容できています。
あくまで、市民(県民)の命より、事業者による開発を優先したい神奈川県の職員は、広域避難場所の指定基準を変更するような計算をしてきました。
そして、神奈川県が定めている「1人当たりの必要面積1㎡で計算する算出式」によれば、6万㎡で収容できる人数は5万4千人になるのです。
県の職員の出してきた募集要綱では、6千人は収容できないことになります。
住民6千人が逃げ込む場所を失う計算で、募集要綱を出したことになります。
募集に応募する事業者は、このことを知っているでしょうか?
神奈川県は、12万㎡の広域避難場所を確保したら事業の採算が出ないからと、広域避難場所の面積は6万㎡でいいと考えて、このような数字を変えることまでやるのでしょうか?
黒岩知事の言う「災害救命の重要性」など、しょせん机上の空論でしょうか?
市民(県民)の命と事業の利益を天秤にかけて計算して出てきた6㎡です。
災害は「想定外」だから災害
今年の3月4日に放送された、
『消防隊だけが撮った0311 彼らは「命の砦」となった 』
「災害は、想定外だから災害なんだ」
現場で火災などに直面する消防のことばは、重みが違います。
県下でも大規模な延焼火災のリスクを持つ茅ヶ崎市にとって、放送された映像は実際に起こりうることです。
街を全滅から救うために、灯りのない、雪の降る寒さの中、ありったけのホースをつないで炎上する火災の消火に向かう消防隊。自分の家も炎でつつまれているのに、現場へ向かう消防士。
直下型地震などで家屋が倒壊し、同時多発火災が起きている場合、消防がかけつけて消火するのは困難になり、水道管が破壊されていれば消火の水も使えなくなります。
千葉市原のコンビナート火災では、消防士から「想像を絶する」と言われた、ブレビーと呼ばれる大爆発起こりました、1時間に5回の大爆発で、800mの炎が上がり、爆風で人家のガラスが割れ、タンクの破片が降ってくる。
もし、そのカケラが原油タンクに当たったら、京葉工業地帯が全滅の可能性もあったといいます。8万5千人に避難勧告が出されましたが、これは広域避難場所である「茅ヶ崎ゴルフ場」の収容人数6万人を超える人数です。
炎上中、消火が行えない、火が強すぎて消防でさえ近づけない。
茅ヶ崎でも、大規模な延焼火災では、炎から300m離れないと命が危険にさらされる場合もあります。そして、茅ヶ崎だけが地震に見舞われて、被災する訳ではない。
どの市も、自分たちの救出しかできない。
連絡さえ、つながらない。311がそうだったのです。
スポンサーリンク