「命より利益の開発」県議会の議事録 Part-1  

「茅ヶ崎ゴルフ場の利活用」について

熊本では、震度7の大地震が2回という、前例のない揺れと余震が続いています。テントを多数投下すれば臨時の避難所にもなる、広いスペースの必要性も感じます。

茅ヶ崎市も、ひとたび大地震で同時多発火災が起きれば、大規模の延焼火災が想定される『クラスター地域』ですが、いま現在、住民6万人の広域避難場所である茅ヶ崎ゴルフ場の開発に向けて、アイデアと事業者が募集されているところです。 
 

「総務常任委員会」での県議員と職員のやり取りのなかでは、
『命の安全より事業者の利益優先』で話が進んでいるのが分かります。

県は、事業者の利益のために、広域避難場所の安全面積さえ変更しようとしています。


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大規模開発より、住民は静かな住環境を望んでいる  


★平成27年12月17日 
神奈川県議会の「総務政策常任委員会」にて
「茅ヶ崎ゴルフ場の利活用」について
県議員と財産経営課長、オリンピック・パラリンピック担当局長のやり取り
 

*柳下剛(自民党 選挙区:横浜市緑区)
*森正明(自民党 選挙区:平塚市)
*県・財産経営課長
*オリンピック・パラリンピック担当局長

広域避難場所の基準をゆるめれば開発できる

柳下委員
茅ヶ崎ゴルフ場の利活用のついて何点かお伺いします。
まず、この民間事業者との対話の中で、利活用基本方針について無理があるのではないかというような意見はなかったのかお伺いします。

財産経営課長
11月の末にかけまして事業者との対話を行い、利活用基本方針をご説明しつつ、当初公募条件として考えていた事項について、事業者提案に当たっての留意事項ということでご説明しました。

その中で事業者からは、ゴルフ場の地域というのは、都市計画の中では第一種低層住居専用地域であり、この用途地域の見直しがはっきりしない中で、例えば広域避難場所の確保ですとか緑地の確保が非常に厳しく義務付けられると、なかなか収益施設を持ってきて開発するのは難しいというご意見がございました。


柳下委員
このまちづくりのコンセプトと留意事項というのを読ませていただくと、事業者としては、提案の形がなかなか見えてこないのではないかと思うのですが、その辺についてはどのように考えていますか。

財産経営課長
事業者の方からは、こういった公募条件とか留意事項は無理があるから事業提案できないという、そこまでのご意見というのはございません。

いろいろな留意事項のところを、もう少し条件を緩めていただくような形であれば、例えば広域避難場所の確保について、現在は茅ヶ崎ゴルフ場と隣の小学校で8万8000人収容できるような形になっていますが、これを単純に1人2平米でかけますと、17万坪ほどの広域避難場所を確保しないといけないということがございますが、そういったところをもう少し緩和してもらえれば、事業者の方ではそれなりに新たな開発ができるというようなお話を頂いております。


柳下委員
留意事項の中に、東京2020オリンピック競技大会やラグビーワールドカップ2019関連事業とかありますが、これは端的に言うと、宿泊施設を造ってくださいということなのでしょうか。

財産経営課長
その辺りにつきましては、事業者の提案に委ねたいとは思いますが、確かにオリンピックとラグビーワールドカップが開催されれば、国内外から大勢の方が県内にお超しになりますし、茅ヶ崎にいらっしゃる可能性もあります。

そういった意味では、今お話のありました観光客が宿泊できるようなホテルの誘致だとか、オリンピック関係者がリラックスできるようなスパやフィットネス系の施設、イベント関係のグッズを販売するような商業施設、ショップといったものの誘致というのが考えられると思います。


柳下委員
ゴルフ場の職員の間では、ここにはホテルができて公園になるのだという具体的なうわさが広がっており、会社や従業員のモチベーションが低くなっているのではないかといった感じも受けているのですが、民間事業者との対話の中でゴルフ場として存続していきたいという意見がなかったのかどうかお伺いします。

財産経営課長
事業者との対話には13法人が参加しておりますが、現在のゴルフ場9ホールをそのまま存続していきたいという提案をされたところが3法人ございました。この三つの事業者は、大手の不動産業ですとか、実際にゴルフ場を運営している法人などでございます。

柳下委員
ゴルフ場がいいですよと言いたいわけではないのですが、実際に行ってみていただければ分かると思うのですけれども、かなり無駄な空きスペースがかなりあります。プロポーザルでやるということですから、いろいろな事業者の提案を県は受け止めていくのでしょうが、実際に見た中では、あってもなくてもいいような練習場があったりとか、クラブハウスに手を加えて位置を動かしたりすれば、それなりの広い公園くらいはできるのではないかと感じました。

そして先ほど、留意事項の文言についてお聞きしましたが、オリンピックが終わった後にも活用できるものを提案してくださいといった文言がそこに入ってくるべきだと思いますが、その辺はいかがですか。

財産経営課長
もともと利活用基本方針というのは、オリンピックとかワールドカップだけを目指して作成したものではございませんで、今後長きにわたってあそこの土地をどういうふうに利活用していくかという方針を決めたものでございますので、当然オリンピック以降のことも含めてしっかり事業提案を頂くということでございます。


柳下委員
こういうコンセプトや留意事項によって、県が方向を示すということは当たり前のことなのですが、公募プロポーザルをやりましたが仮に提案がなかった、もしくは提案があったとしても、この示しているコンセプトや留意事項に合わないものであったという場合には、県としてどのように対応するのでしょうか。

財産経営課長
全ての事業者の提案が、私どもで整理したまちづくりのコンセプトや留意事項を満たしていなかった場合には、優先交渉権を選定できませんので、これは改めて事業者募集を行う必要が出てくると考えております。
ただ、我々はそういう事態は絶対避けたいと考えておりますので、今回の事業者との対話で頂いた意見などを踏まえまして、留意事項の提示の在り方について、茅ヶ崎市や茅ヶ崎協同としっかり協議をしていきたいと考えています。

今回の事業者募集では、優先交渉権を選定した後に、優先交渉権の事業計画案に沿う形で用途地域を見直すといったプロセスの中で、県と茅ヶ崎市、茅ヶ崎協同と一緒になって、その事業計画をより良いものに練り上げていくということも考えております。そういった中で、立派な事業計画が最終的に作成できるように努めてまいりたいと考えております。


柳下委員
今、ゴルフ場として動いている土地であり、あの広大な土地に対してこれだけの留意事項を満たす提案がうまく上がってくるという感じがあまりしないので、そういうことも想定しておくべきだと思っています。

それと、提案する民間事業者は、ある程度利益にならなければいけないのですが、そのメリットというのがすごくないように感じるのです。その辺について、今の時点で県として何を最も重視しているのかお伺いしたいと思います。

財産経営課長
民間事業者にとってメリットがあるかどうかという話ですが、少なくとも事業者との対話をやっている中では、ある程度留意事項の条件を緩和すれば、十分事業者として参入の余地はあるというような意見を頂いております。そこのところはまた、これから茅ヶ崎市、茅ヶ崎協同とも協議しながら詰めていきたいと考えておりますが、現段階では我々はそのように受け止めております。

また、県として何を重視するかということですが、今回、利活用基本方針の中で四つの視点を定めておりますので、その中であまり大きな優先順位を付けるということは考えておりません。

ただ一方で、地元の茅ヶ崎市、茅ヶ崎協同、また、パブリックコメントで住民の方の意見もいろいろ頂きましたので、広域避難場所の確保、緑地の確保については最低限確保し、その上で地域活性化につながるような事業提案を頂きたいと考えております。

平成27年12月17日
神奈川県議会の「総務政策常任委員会」にて


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市民6万人の広域避難場所


今現在、広域避難場所である茅ヶ崎ゴルフ場では、1人2㎡で、市民6万人の広域避難場所を確保できています。 

神奈川県の指定基準では、ひとり当たりの必要面積は2㎡と定めています。 

2m² ×6万人分=12万m² を「広域避難場所」として確保することが、開発では必須になります。 


しかし、県の財産経営課長は驚くようなことを発言しています。

「広域避難場所や緑地の確保を指定基準で義務付けられると、利益があがらないので開発するのは難しい。」
「基準をゆるめてもらって、広域避難場所の面積を狭めてもらえれば、事業者は開発案を出せる。」という事業者からの意見をもらっている。

そして、県と茅ヶ崎協同は、実際に広域避難場所の面積を緩和する事業者募集の要綱を出しました。
 
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また、「パブリックコメントで住民の方の意見もいろいろ頂きました」と県の職員は発言してますが、「パブコメと基本計画を切り離すよう、市に指示した」のは、県の財産経営課です。

県の公務員がこのような発言をするのですから驚くばかりです。


part-2、3へ続く
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