「命より利益の開発」県議会の議事録 Part-3

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未来へ命の安全を残すことより、オリンピック?

Part-1、2 に続いての議事録は、
平成27年12月15日 「行財政改革・地方分権特別委員会」 

県議員と、県の財産経営課とのやり取りですが、「広域避難場所や公園の確保を厳しく義務付けられると、事業提案は非常に難しくなる」という発言に注目してください。 

茅ヶ崎ゴルフ場の利活用について

市川(和)委員
この利活用基本方針の公表後、県では事業者との対話を行ったということでありますが、これはどういう目的で実施されたのか。
また、対話を実施したこの13法人の内訳がどのようになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

財産経営課長
事業者との対話ですけれども、公募プロポーザル方式による事業者の募集を行う前に、不動産市場の動向や民間事業者の意向を把握し、それらをできるだけ公募条件に反映させることを目的に実施したものでございます。

具体的には、こちらのゴルフ場は複数地権者がいますけれども、そういった中でどのような事業手法が最も有効であるかどうか、それから用途地域の変更に当たって、市が主体的に行うのではなくて、事業者自らが都市計画提案制度を活用して行う予定があるか、さらには事業者の負担で公園、緑地、道路を整備又は維持管理することが可能か、事業推進にあたって土地の購入と賃借のどちらを希望するか、宿泊施設や企業の誘致は可能かどうかなどについて率直な意見を頂いたところでございます。

対話を行った13法人の内訳ですけれども、ゴルフ場ではなくて、新たな利活用を考えている法人が10社ございまして、大手のゼネコンとかデベロッパー、地元建設業、それで現在のゴルフ場9ホールを存続して、敷地内の一部の利活用を提案している事業者が、大手の不動産業、ゴルフ場の運営法人など3社ございました。


市川(和)委員
この事業者との対話では、用途地域の変更の問題や、広域避難場所や公園の確保の問題など、公募プロポーザル方式による事業者募集にあたっての課題も指摘されていると思いますが、県としてはこのような意見をどのように受け止めているのか、お考えをお聞かせください。

財産経営課長
今回の事業者対応では、用途地域の変更の問題と、広域避難場所や公園などの確保の問題が大きくクローズアップされています。

事業者からは、現時点で用途地域の見直しが不明確な中では、広域避難場所や公園の確保を厳しく義務付けられると事業提案は非常に難しくなる、賃付料だとか購入価格の提示もなかなかできないといった課題が提起されております。

県としましては、こうした課題の解決に当たってはいずれも茅ヶ崎市の協力が欠かせないため、今後茅ヶ崎市としっかり協議していく中で、事業者からより多くの事業提案を頂けるような方策を検討していきたいと考えています。


市川(和)委員
その敷地の利活用方法として、民間事業者から公募プロポーザル方式の事業提案を受けて、定期借地による貸し付け又は売却を行うとしています。
これは、厳しい財政状況の中で、財政確保のために全て売却するという考えもあると思うんですが、このようにした理由についてはなぜなのか、お聞かせを頂きたいと思います。

財産経営課長
委員ご指摘のとおり、県有地の有効活用の基本的な考え方として、未利用地については財源確保の観点から、原則として有償譲渡により処分するというふうに定めております。

しかしながら、茅ヶ崎ゴルフ場は県有地だけでも約12ヘクタールに及ぶ広大な敷地でありまして、しかも第1種低層住居専用地域であるため、なかなか一括して売却することはむずかしいと考えています。
これは、事業者からのアイデア募集の段階、それから今回の事業者対話の中でも事業者からそういうようなお話がございました。

また地元の茅ヶ崎市や茅ヶ崎協同からは、県有地の転売による乱開発を懸念していまして、売却ではなくて貸し付けにより、引き続き県がコントロールしていただきたいというようなお話もございました。

こうしたことから、県としても茅ヶ崎ゴルフ場の活用について、住宅用地など所有権の移転を伴う敷地については一部売却も考えてまいりますけど、基本的には定期借地による貸し付けのスキームで検討をすすめていきたいというふうに考えています。


市川(和)委員
そういう考えで区分しているというのはよく分かるんですが、先日、藤沢高校の跡地も大和ハウスさんへ売却されて、あれも完全にポロポーザルという形でやられて、今回はプロポーザルもやるんですけれども、それ以降に変えていく要素が多分にあるという状況の中で、こうした示されている考え方だとか公募条件とかがあると思うんですけれども、そうすると、今回のような形で審査をする、いわゆる事業者を決定していく作業が相当むずかしいように感じるんですけれど、その辺は大丈夫なんでしょうか?

財産経営課長
いま、委員ご指摘のように、今回の場合、藤沢高校の場合と違いまして、一度事業者から事業提案を受けましても、その後で県と市で事業提案に見合ったような形の用途地域の変更だとか、そういう手続きを一緒になってやっていくと。

それに併せて、事業計画ももう少し練り上げていくというようなことを考えていますので、どういった事業者を選定するのかというのはなかなか難しい手法だと思います。

我々もこれまでもそうした形で事業者を選定したケースはございませんので、そこのところは、その選定した事業者が選定された以降、どういった形で用途地域の見直しなり、行政との協議、それから地元への説明といったことに対応できるか、そういう事業者の事務執行能力みたいなものを評価した上で選定していく必要があるのかなと考えています。


市川(和)委員
それと、事業提案における留意事項として、やはり東京オリンピックや、ラグビーワールドカップの関連事業を検討することというふうにあります。
様々な茅ヶ崎ゴルフ場の話しが出るたびに、こうしたことはどういうふうに考えているのというお声も頂くわけでありますが、県として何かイメージされているものというか、考えていることというのはあるのかどうか、お考えをお聞かせください。

財産経営課長
2020東京オリンピック・パラリンピック、それからラクビーワールドカップ2019の開催に伴いまして、国内外から大勢の方が本県を訪れることが期待されますし、また茅ヶ崎ゴルフ場のエリアですが、圏央道と国道134号線の結節点に位置しておりますので、箱根などの観光スポット、それからセーリング競技が開催される江ノ島にも非常に行きやすい地の利があるというふうに考えています。

例えば観光客が宿泊できるようなホテル、オリンピック関係者がリラックスできるようなスパなどの温浴施設、あるいはフィットネス系の施設、さらにはイベント関連グッズを販売する商業施設、こういった施設の誘地が考えられるのではないかなというふうに思っております。

いずれも、プロポーザル方式による事業募集の際には民間事業者の方に提案を求めまして、是非民間らしい発想による事業提案を期待したいというふうに考えています。


市川(和)委員
それでは、最後に、現時点で県が考えているこの敷地全体の利活用のイメージといいますか、考えについて、最後に改めて確認をしたいと思います。

財産経営課長
これまで申し上げてまいりましたけれども、利活用基本方針の素案のパブリック・コメント、それから住民説明会、ここでは広域避難場所や緑地を残してほしいという意見が多く寄せられました。
また、茅ヶ崎市との協議でも、ゴルフ場が担ってきた役割、広域避難場所や緑地空間、こういった機能をできるだけ維持してほしいという考え方が示されております。
したがいまして、県といたしましてはこうした機能を基本的には維持しつつも、あらたににぎわい交流、健康増進など、こういった機能を加えまして、茅ヶ崎ゴルフ場のエリアだけでなくて、湘南地域全体の活性化に資するようなまちづくりをイメージし、今後の事業者募集の手続きを進めていきたいというふうに考えています。

市川(和)委員
それでは、要望をさせていただきたいと思います。

茅ヶ崎ゴルフ場の跡地の利活用については、当然茅ヶ崎市もそうでありますけれども、私の地元である藤沢市も含めて、湘南地域のまちづくりへの影響も大変大きいものがあるというふうに考えています。

今も質疑をさせていただきましたが、今後とも茅ヶ崎市、茅ヶ崎協同とも十分連携を図っていただいて、やはり今回初めてこうしたプロポーザルになっているということでありますから、是非この事業者の選定に向けては、慎重にしっかりとすすめていただくよう要望して私の質問は終わります。

平成27年12月15日
行財政改革・地方分権特別委員会 
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/801839.pdf



「茅ヶ崎ゴルフ場」は、いまどうなってるの?

いま現在、開発のためのアイデアと事業者が募集されているところです。神奈川県と茅ヶ崎協同が決めた募集要綱により、5月16日から提案の受付を開始します。 

平成28年2月19日に、神奈川県が茅ヶ崎ゴルフ場の事業提案を募集する「募集要綱」を発表しています。 

しかし、この募集条件には、住民にとって大きな問題がいくつもあります。

要綱では、事業者が必ず守らなければならない必須事項として

*6万人分の広域避難場所
*4万㎡の公園
*開発対象の敷地面積の25%以上の緑地を確保すること  


県は、震災時の延焼火災からの避難空間として「6万人分の広域避難場所の機能確保」を事業者に求めています。

住民6万人分の命を守るために必要な「広域避難場所」の面積は、12万m² になります。
(ゴルフ場の総面積は20万m² )

なぜ12万m² かというと、

国、神奈川県、茅ヶ崎市の基準は1人につき2m² 。
2m² ×6万人分=12万m² を「広域避難場所」として確保することが必須です。
 

しかし、議事録にも再三あるように、

県は「広域避難場所とか緑地の確保が厳しく義務付けられると、事業で収益をあげるのは難しい」という意見が、事業者からあったと再三にわたり発言。

ゴルフ場内の広域避難場所は6万㎡に抑えようとしています。

これでは、住民生命の安全がたいへんに危惧されます。

12万m² を必須とする「広域避難場所」を6万㎡にせばめても安全とする根拠と責任を、県と事業者に問わねばなりません。


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