市民でジャッジ!「柳島スポーツ公園」茅ヶ崎市 その5(ローカルファースト) 

柳島スポーツ公園のPFI 事業者を評価・採点する入札で、『自由提案』のほかに落札事業者が高い得点だったものに、次のふたつがあります。

★その他の優れた提案  (K3.75 M2.5)

★地元経済社会への貢献 (K15.0 M11.25)

(以下 M社:ミズノ K社:亀井工業ホールディングス) 

このふたつの評価・採点にも、不明瞭な点があります。

送迎バスは実行できるだろうか?

「その他のすぐれた提案」 

M社は、柳島スポーツ公園を使用する「2020年東京オリンピック・パラリンピック」に向けた提案をしています。 

〈事前合宿誘致〉
柳島スポーツ公園の施設スペックを生かして、事前合宿地としてアピール。

〈IOC 公認の文化プログラム〉
茅ヶ崎の文化や観光を世界にアピール。

〈地元選手の強化〉
茅ヶ崎市や神奈川からの選手出場を目標に、選手育成やビクトリー・クリニックでのスポーツ振興。

〈ISO 20121 に準じた大会とイベント運営〉
 

K社の提案は、〈送迎バスの運行〉  
茅ヶ崎駅〜公園までの周遊コースで、送迎バスの運行をする

〈大会イベント時の、パーク&ライド〉
 

「その他すぐれた提案」の採点は、
K社3.75 M社2.5で、K社のバス送迎とパーク&ライドが評価されました。


ところで、市議会の一般質問でも、議員から柳島スポーツ公園のアクセスについて質問が出ています。行政側は、柳島スポーツ公園へのアクセスについては、「交通事業者への臨時バスの働きかけをしている」と答弁しています。 

また、スポーツ推進審議会やパブリックコメントでの同様の質問にも、交通事業者と協議をしているという回答に終始しています。落札事業者である K社 が送迎バスの運行を提案しているという回答は、市から聞かれません。


しかし、採点では
「亀井工業ホールディングスグループについては、茅ヶ崎駅から本公園までの送迎バスの運行や、大会・イベント時に地元企業と連携したパーク&ライドの実施などを高く評価した。
として、点数は、K社 3.75 M社2.5と点差がひらいている高い評価となっています。

もし、送迎バスの運行が、K社の提案の通りに実施されないのであれば、提案の不履行になります。その場合は、相応のペナルティーなどの処置がなければ、入札の公正性は保たれないでしょう。 

もうひとつの問題は、送迎バスは有料か、無料かです。一般的にスポーツ施設への送迎バスは無料であることが多いですが、入札の提案でははっきり示されていません。
 

ローカルファーストへの高い評価

「地域経済社会への貢献」

「地域経済社会への貢献」は、「自由提案」の次に、ジャッジの点差が大きくついた項目です。K社15.0 M社11.25 とジャッジで差がつきました。


審査員の講評によると、
K社は、「ローカルファーストというコンセプトを打ち出して、地元中心の業務実施体制を構築し、積極的な地元在住者の雇用確保、県内で生産される材料の採用、地域社会への連携や地域活性化の貢献に関して、具体的で実現性の高い提案をしている点を特に高く評価した」とあります。

いっぽう、M社への講評は、
「M社は、市内在住者の雇用確保、市内名産品・地元資材の活用や地域イベントへの協賛など、地域社会との連携や地域社会への貢献に関して、具体的に提案している点を高く評価した」とあります。


内容としてほとんど同じで、どこが違うのか明確に分かりません。

「地元中心の業務実施体制を構築」という部分の評価だとしたら、K社の構成企業、協力企業のことを示すのでしょうか?

「審査員の講評」では3ヶ所で、「K社のローカルファーストというコンセプトを、特に高く評価した」とあります。


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ローカルファーストって何のこと?

それではいったい、「ローカルファースト」って何なのでしょう?


「ローカルファースト」は、柳島スポーツ公園の落札者である、亀井工業ホールディングスが自ら提案しているコンセプトです。(「ローカルファースト」は、同社は登録商標も行っています。)

茅ヶ崎では、毎年「ローカルファースト・シンポジウム」が開催されています。 
第1回目のコーディネーターは、亀井工業ホールディングスの代表取締役。茅ヶ崎市長、副市長、また、協力企業になっているパーム・インターナショナルも参加しました。


しかし、ローカルファーストのコンセプト(定義)については、提唱者である亀井工業ホールディングス自身が、『ローカルファーストは、あくまで自己の気づきの問題であり、それぞれの価値観、解釈、活用があって良いと思う。あまり定義付けをしたくない』と講演しています。

あえて言えば、以前からある「地産地消」のようなものでしょうか。

それならば、M社も茅ヶ崎に日参して、多数の地元企業と協力を結び、地元市民の雇用や、地元資材の調達、市内名産品のPR、市のイベントへの協賛や地域の活性化など、提案内容はほとんど同じです。

違うとすれば、それに「ローカルファースト」という名称がついているか、いないかぐらいでしょう。

入札の選定基準に採用するのであれば

柳島スポーツ公園の入札の「総合評価方式」は、入札価格だけで決めるのではなく、「価格と品質」の双方を評価する方法です。

「価格と品質」をそれぞれ評価するものであって、評価基準が明確でない「コンセプト」を評価基準とすべきでないと考えます。

各人のそれぞれの価値観と解釈があり、定義付けのない「ローカルファースト」を、公共事業に使用することは、「評価の公平性」に問題ないのでしょうか? 

ローカルファーストのコンセプトを、入札の選定基準に採用するのなら、パブリックコメントなどで市民の意見を聞いたうえで、事前に、市の考えを市民に明らかにする必要があります。

そのような市民に分かる明確な手続きがなく、ローカルファーストを評価基準に採用するのであれば、評価の公平性を失うことにもなります。 


また、パブコメでは「鍼灸・マッサージ室、自転車販売、スタジオを作って欲しい」という市民からの要望は1件もなかったのですが、採点では満点がついています。

★市民の要望は、いったいどこに反映されているのか分からない 
★計画への早い段階での市民参加がない
★市民への事前の情報提供がない
★行政サイドと関係者団体だけで話が進められている


現在の「茅ヶ崎市の典型的な問題点」が反映されている、スポーツ公園建設といっていいでしょう。 

また、この採点の委員長である有識者教授や委員であった市の部長3名は、どのような理由で明確な議事録を作成しなかったのでしょうか?


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