起こるべくして起こった「茅ヶ崎市立病院で1億円の医薬品紛失」

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茅ヶ崎市からの記者発表

新聞各紙やニュースなど、マスコミで報道されている「茅ヶ崎市立病院で1億円相当の医薬品の紛失」について。

3ヶ月ほど前、今年の4月に、茅ヶ崎市から「市立病院職員の医薬品窃盗事件による逮捕について」という記者発表があった。

その時の被害額は、およそ54万円(4品目7箱の抗がん剤)ということだった。
薬剤師が医薬品の棚卸しの準備を始めたところ、通常あまり使用されない医薬品が出庫されていることを発見したという。

その後、この事件を受けて茅ヶ崎市立病院は、昨年4月から今年3月までの1年関を対象に、院内の薬局や薬品倉庫の医薬品の出入りを調べ直した。

その結果、市によると、昨年9月から今年3月までに、高価ながん治療薬のオプジーボのほか、白血病や関節リウマチの薬など計16種類・851箱が持ち出されていて、金額にして1億427万円相当分にのぼることが判明した。

市長コメントにもある通り「医薬品の種類、数量及び金額のそれぞれが非常に大きい」「管理体制が不十分であったと言わざるを得ない」という結果だった。

新聞各紙の報道では

6月に開かれた横浜地裁の初公判では、検察側は逮捕された職員(薬剤師)が医薬品の転売で1千万円以上の利益を得ていたと明らかにした。

また、医師の指示で患者への投薬が中止された医薬品を返品せずに着服していた、と手口を説明した。医薬品は、東京都内の業者に転売していたという。(カナロコより)

また、処方されたように見せ掛けるため、在庫を管理するコンピューターが不正に操作されていて、医薬品が減ると薬品卸業者に自動発注され、2日以内に納品されるシステムになっており、病院は今春まで気づかなかったという。(朝日デジタルより)


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紛失に、なぜ気付かなかったのか?

茅ヶ崎市立病院では、コンピューターによる管理システム上の記録と、薬品倉庫の実際の在庫数との照合を月一度しか行っていなかったほか、逮捕された職員が払い出しの記録を改ざんした疑いもあるという。このため、病院では長期間にわたって被害に気づかなかった。(読売新聞より)


薬局で扱う医薬品は約1700種類あり、目視などで在庫数を確認するのは困難。薬剤師にはシステムにアクセスできるID とパスワードが与えられていた。
市立病院の薬局長は「それぞれを信頼していなければ業務が回らない。性善説に立ち、一人一人にある程度の権限を与えていた」とコメント。

今回の調査では、勝手に医薬品の定数を変えて発注したり、他人のID やパスワードを使った形跡も見つかっている。患者への投薬が中止されても、システム上で使用されているように在庫数を改ざんしたケースもあったという。(神奈川新聞より) 


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読売新聞 2017/7/19

問われるのは、市の体質

しかし、茅ヶ崎市の現状を見ている限り、起こるべくして起こった紛失、茅ヶ崎市の体質としか思えない。

現市長の体制になってから、すでに14年目に入っている。前回の市長選挙では、「市長は3期までで辞める」という自らの公約を破って出馬した。

「やり残していることが多々ある」というのが市長の再出馬の理由だったが、東京都の議員選挙などでも「体質の一新」が焦点になっているなかで、茅ヶ崎市のこういった体質は自らの手で一新しないのだろうか? 

茅ヶ崎市は、新しい風が吹き込まず、よどんだ古池のようで、昭和のままのような時代に遅れた方針で機能していない。「体質の一新」こそ、市長が「やり残していること」だろう。

市立病院でも、昨年の8月には、摘出手術を受けた市内在住の70代女性の腹部に、手術で使用した器具を置き忘れる医療ミスがあり、病院長の陳謝となった。また、その前年には、女性へのつきまとい行為で、医事課の職員が停職処分となっている。

市民からの税金で運営している病院なので(年に14億円の赤字経営だが)、病院としてのホスピタリティや経営責任への信頼は揺らいでいくばかりだ。 

7月18日の市議会全員協議会では、医薬品の管理体制を問う質問が相次いだというが、こちらも市議会の「チェック機能」そのものがほとんど働いていないと指摘されている。

市長、副市長の責任は重く、また行政追随をしてきた監査委員の甘さも露呈している。

市立病院だけでなく、市全体の仕事のやり方が機能していない、と感じている市民も多いはずだ。


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