とうとう行き詰まった茅ヶ崎財政
茅ヶ崎市の財政は、とうとう本当に行き詰まってしまいました。
こういうところにお金を使って欲しいと市民が希望しても、自由に使えるお金がなくなってしまったのです。
さらに、これから本格的に借金を返済せねばなりません。
そこで、「これって How much? 」
市民が支払っている税金、いま、何に、どれぐらいの金額が使われているのでしょう? 意外と分からないものです。
大は市庁舎や柳島スポーツ公園などの巨額の建設費から、小は「これってムダ使いだよね?」と思えるものまで。
あらためて金額を見なおして、仰天するか、納得するか、さてあなたはどちら?
市庁舎の建て替え、ホントはいくら使ったの?
トップバッターは、市庁舎の建て替えに使った金額。
市長は、「市役所建て替えの工事費は72億円、どんなことがあってもこれより上回らない。始めたら増額しました、というのは許されない。」と公約していた。
だけど、市長の言っているのは、建物のみの費用だと思う。
市庁舎のような大規模な建て替えには、本体工事費だけでなく、設計費、什器や備品の費用、コンピュータ室の移設費、仮設庁舎の費用、解体工事費など・・・さまざまな費用が発生する。
すべてコミコミで72億円で出来ると思えてしまうけど、上記のすべてを含んだトータル金額を「建て替え費用」として市民に報告しないと情報共有にならないですね。
〈市庁舎の建て替えにかかった費用〉
「では、実際にトータルでいくら使ったのか?」という市の情報などはないので、分かる部分を集計していただいた。
☆新庁舎事業費
建設工事 74億5025万円
監理委託 6588万円
基本計画 1743万円
基本設計・実施設計委託 1億5750万円
什器整備費用 3億5591万円
移転費用(什器・書類) 2807万円
移転費用(ホストコンピューターなど OA機器)1億5968万円
仮設庁舎の賃貸費 2億453万円
旧本庁舎の解体工事 1億9924万円
合計 86億3850万円
結果としては、分かっているものだけでも集めてみると、トータルは86億円を超えていた。
さらに、建物を作れば、毎年の維持管理費も当然かかってくる。
(茅ヶ崎市では、ハコモノ建設に伴って、維持管理費が増大している。)
☆市庁舎の維持管理費 合計:2億2928万円
(内訳の主なもの)
清掃業務費委託費 1億3007万円
水道光熱費 6112万円
通信費 1400万円
消耗品など 189万円
☆人件費(全庁) 合計:約177億円
(常勤の職員 2192名)
内訳は
本庁舎勤務 68億円
分庁舎勤務 15億円
庁外勤務 94億円
入札について
平成24年3月、「新庁舎建設基本設計・実施設計業務委託」の入札が行われた。第1位の業者が他県で指名停止処分を受けていることが判明し、第2位の大建設計が委託した。
その後、平成25年10月に建設工事の落札者を決定した。(総合評価方式)
総合評価方式による一般競争入札(平成25年10月22日)
戸田建設・亀井工業特定建設工事共同企業体 70億9560万円(税込)
(予定価格に対する落札率は 98.72%)
2位の大成建設(株)の方が、税抜きで2億7000万円安かったが、総合評価入札のため、落札は戸田建設・亀井工業の共同企業体となった。
柳島スポーツ公園も同じパターンで、価格では2位のミズノが約2億8000万円も安かったが、総合評価入札の採点差で落札は約75億円(税込・対予定価格 98.77%)で亀井工業ホールディングスとなった。
市庁舎入札については、「その選定の過程が公正公明、明瞭でないといけないと思う。どういう評価の基準なのか、評価点の結果について、資料を出していただかないと、議会としてもチェック機能を果たすことができない」という議員からの発言があった。
75億円の柳島スポーツ公園の総合評価入札についても、採点委員会の明確な議事録が存在していない。審査員が採点を書き込んだ原本もないという。(捨てたという説明も。)採点委員には、副市長と部長2名が入っていて、議事録を作成していないのはあってはならないことなのだが。
もちろん、借金は後々残っていきます!
4年前、「市庁舎建て替えの是非」をめぐって、住民投票運動が行われた。
建て替えにかかる費用を懸念する市民の声は多く、そのさなかに、市長は「市の財政は健全である」という広報紙の特集号を発行した。そして、財政部長は「財源に不足があれば、地方交付税によって補てんされるので問題ない」と、議会で説明した。
しかし、実際はどうなったのだろう・・・?
今年、平成29年6月の「総合計画審議会」の資料には、
「市庁舎再整備事業や柳島スポーツ公園整備事業などの実施に伴う市債(借金)残高の増加により、今後も公債費(借金の返済)が増高することは明らかである」と説明されている。。
さらに今までは、借金の利子の部分を返していたのが、これからは本格的な借金返済を始めなければならない。
「市庁舎の建て替えでは、29億円近くが借金となります。利息は20年の償還で考えているので、約6億円になる。合計35億円の借金になり、これを20年間で償還する計画としている。ですから単純計算では、市役所の建て替えについては、毎年1億8000万円ほどの金額を返していくこととなる。この返済計画については、市の財政推計も当然考慮しているので、大きな事業ばかりを進めることはできない。」(当時の市の説明より)
・・・と、言っている矢先に、市庁舎を超えるような巨額の税金を投入した、柳島スポーツ公園を、市は建設する。(平成30年に開園。現在、建築中)
市役所の建て替えと共に、市の借金を増加させた、2大事業のひとつだ。
現在、解体中の前市庁舎
前市庁舎(写真上)は、60年保つということでRC造で建設、設計されたのだが、たった36年しか経過していないうちに建て替えとなった。
市の説明では「36年しか保たなかったのではなく、耐震性が不足していた」ということだった。
だけど、松浪中学校の古い校舎などは50年近くも経過しているのに、耐震補強で済ませている。
なぜ市庁舎だけが建て替えだったのか・・・?
その辺りの理由や経緯についても、市民へ納得のいかない説明のまま、前市庁舎は解体されている。
「茅ヶ崎市役所の新庁舎に、巨額の税金をかけるのはおかしい」との市民の声には、市は阪神淡路大震災や東日本大震災、関東大震災まで持ち出して、建設へと突き進んだ。(その一方で、震災時の市民6万人の広域避難場所になっている県有地『茅ヶ崎ゴルフ場』の開発計画が起きている。)
仮庁舎の状態でじゅうぶん機能してる、という市民の声も多かった。