茅ヶ崎市立病院 薬剤紛失の「全貌」はどこまで検証されるのか?

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9月1日の市議会。

市は「検察の取り調べ、我々の調査、新聞、報道などで、おおむね全体像が把握できている」という主張に終始した。そして、市長の責任の取り方としては「給与を減額10分の3(1ヶ月)にする」ということで、これにて責任の取り方は終了してしまった。(議会が2名の反対だけで、可決した。)

では、いったい「我々の調査(市の調査)」とは、どのような内容?かといえば、以下のようなものだった。

• 起訴内容としては、5/2 に約54万円、7/6 に約149万円、合計約200万円の業務上横領で起訴された。
• 本人の供述によると、持ち出した医薬品を売却して、お金を貯めてから辞めるつもりで、これまで約6千万円の利益を得たとの事実を把握した。
• 県警の発表から、薬剤師が薬を転売して約6千万円の利益を得ていたことが報道されている。
• 病院の調査によると、1億427万6774円の医薬品が紛失していることが判明している。(9/4 議会 総務部長)

8/24の記者会見で、市長は、「ひとつ明らかなこととして、いま本人名義の口座に、薬剤を売却をして得たという6千万を超える金額がある、これは確実なこと」と説明している。

しかし、病院の調査による1億を超える医薬品の紛失と、口座にある6千万は、どこまでが横領の範囲なのか、これ以外にも調査中の不明金がどれだけあるのかも解明されていない。裁判はいまだ公判中だ。

市の「おおむね全体像が把握できている」という説明には、「どこが?!!」というのが市民の反応だろう。



市民が最も究明してほしいこと

それ以上に、市民がもっとも究明してほしいのは、市立病院の管理責任者のトップとして、市長や病院長が「事件の発生前に」どのような管理体制をとっていたのか?ということだ。

冷蔵庫で厳重に管理をしなくてはならない高額な医薬品を、容易に自分のポケットに入れて持ち帰り、自宅で保管して転売できるような管理だったのが何よりの事実だ。 

今後の管理体制の見直しを早急に進めることも大切だが、「いままでどうだったのか?」そういったズサンともいえるトップの作ってきた体制については触れずに、横領事件に責任を求めていくような発言が目立っている。

今回行ったことは言語道断であり許されるべきことではないと思う。(9/4 市議会:市長)

「根本は、なぜ、このようなことを起こす職員がでてくるのかが一番肝心の問題。」(8/24 全協:副院長)

「仕事に嫌気がさしてやめたい。その前に金を得ておきたい。」という動機は驚くばかりである。(9/4市議会:副院長)

「不祥事を起こす職員が出たことに、煮えくり返る思い。」(9/4 全協:院長) 

むしろ、トップの責任者の無責任さがよく出ているコメントではないだろうか?
市長は「信じ難い、信じ難い」というが、その地盤を作ったのは誰なのか?
長年に渡って、ズサンな管理や病院経営の放置はなかったのだろうか?

税金で運営されている市立病院なのだから、市民が最も真相解明して欲しいのは、この部分になるだろう。
 

形骸化してることがたくさんある

市長は平成15年から、病院長は平成18年からの在任で、ともに10年以上の長期に渡ってポストについている。管理体制やシステムの地盤を作るにはじゅうぶんな時間で、事件の起きた現在の体制は、この期間に作り上げられたものといっていい。
 
病院長は自ら「病院運営協議会をはじめ形骸化していることがたくさんある」と発言している。

「病院運営協議会」は、茅ヶ崎市立病院の運営に関して、市長の諮問に応じて調査審議する審議会。委員は、医師や薬剤師、まちぢから協議会、商工会議所、民生委員、議員になっている。肝心の病院経営を分析できる専門家が入っておらず、新たに任命された委員が「病院経営については全く分かりませんが」と前置きしたり、ひと言も発言せずに帰る委員がいるような、「形骸化している」ひとつになっている。

病院事務局長というポストも、本来であれば病院事務に精通している職員を置くべきなのに、市長の人事では、まったく病院事務に素人の市役所の職員がまかされる。
右を向いても、左を向いても、病院経営の専門家がいない状態で経営されている。

「形骸化している」「現在の形態ではなにをやるにも時間がかかりすぎる」と病院長が自ら指摘するのなら、なぜ自ら変えようとしなかったのだろうか?

最終的な管理責任者は?

市長自らが語っているように「市立病院は、市長である私が管理・監督する組織」「現場のことは専門職である病院長にお願いしなければならないこともあるが、最終的な管理責任者は私である。」(9/4 議会) 

これだけ重大な損害と、病院経営への市民の不信を招く事件が1年近く発見できなかったのだから、薬剤管理システムに基本的な欠陥があったことは確か。
しかし、システムの欠陥への究明よりも、「薬品の横領をするような職員がいたこと、採用時など早く見抜けなかったことに責任を感じている」など、弁解に終始する姿勢が多かった。

この事件は、誰でも薬を着服しようと思えばできてしまう管理システムを、長期に見直さなかった市長、副市長、病院長などトップの管理責任の問題であり、形骸化した審議会などを長年放置してきた茅ヶ崎市の組織の問題でもある。

茅ヶ崎市役所への、市民の信頼性も大きく揺らいでいる。

特に、形骸化されていることに、それこそメスを入れなかった。長年にわたって放置して、最終的に多額の税金の紛失を呼び込むという土壌を作っていた。この部分の究明が最も重要で、もし、これをしないで済ますのであれば、茅ヶ崎市立病院の信頼も取り戻せそうにない。 

市は、9月12日に危機管理指針にもとづいて「茅ヶ崎市立病院・薬品横領事件調査委員会」を設置した。しかし、第三者委員会ではなく、委員はすべて市の職員。委員会の名称がなぜ「横領事件」の調査になっているのか、横領の調査は検察で、不正な払出金の全体についての調査ではないのか?という議員からの疑問も投げかけられている。