茅ヶ崎の最も液状化する場所に、税金250億?

熊本地震の液状化の帯

熊本地震によって、熊本内陸部に「液状化の帯」ができた。

海岸から約8キロの内陸部で、有明海へ流れる二つの川(白川と加勢川)にはさまれた、幅約50~100メートル、全長5キロの帯状のエリアに液状化が集中した。
かつて川が流れていた「旧河道」で、土砂が堆積(たいせき)した場所に沿って「液状化の帯」が生じた可能性があるという。

地中から噴き出した砂が建物の周囲や道路などに広がり、住宅が沈み込んで大きく傾いたり、逆に住宅の周囲が最大75センチ沈下した場所も見つかった。

柳島は関東大震災で隆起

関東大震災のときには、江ノ島は0.9m、茅ヶ崎の海岸側は1.4mほど隆起している。

特に柳島地区全体は、「柳島は(震災前は)印旛沼のようだった。一年中、ウナギや鯉がいっぱいいて遊舟会をやっていたが、その辺一帯が陸地になった」との証言もある。(ちがさきの関東大震災)

柳島の隆起して出現した土地は、町内で3等分したという。

今まで湿地で耕作が出来なかった柳島河原地域が、農耕地に適するようになり、さっそく国や県に開墾の手続きを取り, 住民総出で畑にしたという。また毎年のように繰り返されてきた大水の被害も少なくなった、という証言もある。(自治会・五三会 1990)

液状化のリスク

柳島は地震によって、もっとも変貌した地区だった。

沼のような、舟遊びのできる湿地帯が震災によって隆起して、一帯が陸地になった。(平塚らいてうなども、南湖院を訪れたときに、柳島に小舟を出したことを記している。)


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現在の小出川は、A 地点から直線的に相模川河口に向けて流れているが、震災前は大きく南に迂回してB 地点(鳥井戸橋付近)で千ノ川と合流し松尾川となって、点線のように流れて、C 地点で入江のように延びる水路に注いでいた。

江戸時代にはさらに広い入江で柳島湊(みなと)として栄えた という。

ところが、地震によって河口付近の河原地域が隆起して港が完全に消え、松尾川の水も出口を失って、現在の浜見平団地付近に滞留した。

水は次第に田んぼだけでなく畑にも浸水し, 排水のために村民総出で堀割工事を行ったという記録もある。(自治会・五三会1990)
 
★茅ヶ崎・寒川での関東大震災の跡
http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/rzisin/kaishi_28/HE28_001_017_Takemura.pdf#search='神奈川県茅ヶ崎市・寒川町での関東大震災の跡'


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茅ヶ崎市 液状化マップ 

茅ヶ崎市の「液状化ハザードマップ」を見ると、柳島一帯はかつて沼のような湿地帯でもあり、液状化のリスクは非常に高いレベル1になっている。(上図:左下オレンジの部分)

★茅ヶ崎市の液状化ハザードマップ
http://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/008/005/ekijoukamap.pdf


「柳島スポーツ公園」のパブリックコメントに使われた資料では、柳島スポーツ公園の周辺立地は、液状化の可能性大になっている。(下図:左下の赤が建設地)

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「災害」は想定外だから災害

茅ヶ崎市の液状化マップを拡大してみた。(下図)

千の川に沿った市の中心部にも液状化エリアが集中している。茅ヶ崎市の場合は、ここに市役所がある。


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このところ、茅ヶ崎全図の液状化マップで、もっとも液状化のリスクの高い場所に、巨額のハコモノ建設が続いている。


*茅ヶ崎市役所・・・市役所の建て替え費用は約90億円、年間の維持管理費は2億3千万ほどかかる。

「震災などの災害に備える拠点として、市役所の建て替えが必要」という理由だったが、旧市役所は、60年保つということでRC造で建設、設計されたのに、たった36年しか経過していないうちに耐震性に問題があるとして建て替えになった。


*柳島スポーツ公園・・・柳島河原地区の土地の買い上げに約20億円。建設費と維持管理費に75億円。その他の周辺整備費用も合わせれば100億円以上に達している。さらに10年ごとの高額な修繕費が必要。 

市役所の立て替えと柳島スポーツ公園の建設は、市の借金を増加させ、財政を窮乏させた2大事業だ。

柳島キャンプ場としおさい公園、さらに道の駅も加われば、最も液状化する場所に施設が集中する。


*道の駅・・・同じく柳島の土地の買い上げに4億8千万(予定)。
建設費に25億円(予定) 維持管理費は未定。

市民から「維持管理費はいくらかかるのか?」「採算は取れるのか?」という度重なる質問にも、とうとう市は答えられなかった。 
道の駅は24時間オープンの駐車場が必須となるので、周辺の環境や安全の維持に懸念の声があがっている。 


巨額の税金を投入するハコモノ建設が次々と続く茅ヶ崎市。

そのしわ寄せで、子育て、教育、医療や介護福祉などにまわすお金が不足して、近隣市との格差は開いたままになっている。
 
「市民ひとり当りの公園面積」も県下で最下位に近い。

茅ヶ崎市の公園やみどりは消滅するばかりで、公園やみどり保全の予算はスズメの涙。

市長は、「柳島スポーツ公園は競技場でなく公園」と言っているが、施設と駐車場の面積がメインで、みどりは最小限の面積しか確保できていない。

100億円も税金をかけて、みどりは最小限しか増えていないことになる。

また、「市の公益」を考える副市長にとっては、公益というのはマネーであり、建物であり、公益=お金が価値を示す単位になっているようだ。

「命や安全、みどりが価値」という言葉は聞いたことがない。


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