サザン姉・えり子さん 茅ヶ崎への「先見の明」 カーメル

前記事の続き

サザン桑田さんの姉、えり子さんが結婚後にアメリカに渡り生活した場所が、
カーメル・バイ・ザ・シー( Carmel-by-the-Sea)略してカーメル。

サンフランシスコの南、約200kmにあるモントレー半島、
その半島の北側にあるのがモントレー、南側にあるのがカーメル。
海に面した芸術家や作家の集まる小さな街。

かつての湘南と似たような街の成り立ちかもしれない。
(どことなく鎌倉を思わせる街の雰囲気、とえり子さんは書いている。) 

だけど、決定的に茅ヶ崎と違うのは
カーメルは観光地として、海岸線と街並の美しさを徹底したことだった。
  


f:id:Merimaa88:20150324210041j:plain
カーメル・バイ・ザ・シー

茅ヶ崎でカーメルのような街づくりをしたい

カーメルは、クリント・イーストウッドが市長の時に、ネオンサイン、派手な看板、信号機さえない街づくりをめざした。


えり子さんは本の中で書いている。

「カーメルの海岸線は本当にきれいだった。青く澄んだ海、長く続く白い砂浜、緑の森林。そこには〈あるがまま〉の自然が保たれていた。」

「1年の間に800万人もの観光客が訪れる。だからこそ、自然保護が徹底しているのだ。
たとえば、自然を残すために道路の整備は最小限にとどめ、自分の庭たりとも直径15cm以上の樹木を切るときは、近隣の家と市の許可が必要。」

「自然を守るために、まず優先されるのは ”何も手を加えない” ことなのだ。」 


f:id:Merimaa88:20150325010834j:plain
カーメル・バイ・ザ・シー 木製の看板のみ


カーメルでは、美しい街並を守ろうとする住民の努力も半端ではない。
景観を守るために「独自の規制」をつくり、そうして美しい自然と人々の暮らしが、独自に調和する街がつくられていった。 


派手な看板や、ネオンサインが非常に少なく、美しく落ち着いた景観の街。
芸術家も多く移り住んで、ギャラリーが多いこと。
レストランもお洒落な店が多く、道路標識からゴミ箱までが木製。
それらが、独特の落ち着いた街の雰囲気をもたらしている。


すべてがカーメルと同じとはいかなくても、
「茅ヶ崎でそれができないものだろうか?」 
と、真剣に考えたのが、えり子さんだった。

街の「戦略」としての「自然保護」は当たりまえ

カーメルは、観光地としての「戦略」=「自然保護」が徹底されて、成功を収めた街、と言えるのだろう。

このような戦略として「自然保護」や「街の景観」が徹底されるのは、カーメルだけではない。
今や大人気の北欧や、イタリアなどヨーロッパ諸国、当たり前の戦略となっている街は、世界中あちこちで見かける。
 
たとえば、日本での北欧人気によって、フィンエアーでは日本支店の売り上げが、フィンランド国内を超えてしまった。
北欧の自然保護とデザイン性、生活スタイルの魅力などが、フィンランド自国の利益につながっている。

こうして較べてみると、きっちりとした戦略もなく、

ただ「にぎわい」とか「まちづくり」とかハコモノを建てる理由を作り続ける、茅ヶ崎市と議員のレベルがよく分かる。

「持ってる人」の先見の明

えり子さんが茅ヶ崎で景観を守る活動をしていた当時は、えり子さんの考え方を、ただの理想論のように思っていた人もいたようだ。

しかしえり子さんの没後に、こうして年数がたってみて、今の茅ヶ崎の惨憺たるありさまを見れば、

海岸それ自体の魅力と景観で、観光客を呼ぶ」

というビジョンが、いかに「先見の明」だったか、センスに溢れた魅力的なことだったか納得できる。


f:id:Merimaa88:20170818230721j:plain
カーメルの海岸。茅ヶ崎にそっくり!


来日アーティストの通訳をしてきたほど、えり子さんは英会話も堪能。
その人柄でセンスと知識に溢れた、市民ブレーンも集まっただろう。
海外との連携のために出張したとしても、通訳などいらない。
 
今だにホノルル姉妹都市提携で、お役所旅行を繰り返し、お金を払ってホノルルブランドがどうこうという発想とは、まったく違う。

まちづくりには、才能や、センス、語学力も要求される。  
サザンの姉弟には、そういう類いの能力がやはり何かあるのかもしれませんね。
「持ってる人」なのでしょう。


「持ってない」市長と議員に先導された茅ヶ崎市は、その場限りの利益を求める開発によって浜の魅力を失い、家の密集で県下一のクラスター延焼火災地域になり、市民一人当りの公園面積は県で最低、というみどりの少ない、ジリ貧の町、になってしまった。

「茅ヶ崎」というイメージだけを利用して、

乱開発のたびに、大切なものを失った街は魅力を失い、巨額のハコモノ開発だけに、税金が使われる街に変わってしまった。


ほんとうにほんとうに
えり子さんに生きていて欲しかった。茅ヶ崎のためにも。

 
merimaa88.hatenablog.jp