箱根駅伝、あの松林、茅ヶ崎の光景は見納め・・?

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お正月の2日、3日は恒例の箱根駅伝。

茅ヶ崎は往路3区(戸塚~平塚)で、134号線の海岸沿いを走ります。

藤沢の遊行寺から茅ヶ崎海岸に向けての道中は、TV中継では、延々と続く電柱と電線、建物、看板がうつし出されて、みどりも松林も、湘南から、茅ヶ崎からほとんど消えてしまいました。

選手が海岸に近づくと、浜須賀の交差点を曲がって、海岸沿いの134号線に入ります。 

このとき、道路わきのみどりの松林、海岸、正面に富士山など、一気に茅ヶ崎らしい(とされる)光景が映し出されます。

箱根駅伝では、茅ヶ崎の名物とも言える伝統的な光景です。

しかし、しかし・・・全国の駅伝ファンのみなさん!

この茅ヶ崎の景色は、いつまで見れるのでしょうか?

たとえ今年見れたとしても、近い将来に様変わりするかもしれません。


(この記事は2020年1月1日に、新しい情報を加筆しています)

神奈川県は、砂防林を伐採して道路を通す計画も

ちょうど、浜須賀の交差点を曲がり、海岸の134号線を走っていく選手の右手には松林が続きます。

そこが「茅ヶ崎ゴルフ場」の敷地内の砂防林で、およそ1kmぐらい続いているでしょう。茅ヶ崎の海岸線の貴重な緑のスペースです。

この134号線の両側の松林は、県の管理する砂防林です。

海岸からの強風・砂・潮、車の騒音はもちろん、津波の際には歯止めになるありがたい存在。つくづく樹木の恩恵を感じます。 

松林の管理・保全については県の管轄なので、この美しい砂防林の光景を残すのか、残さないのかは県の判断とも言えます。

いま、この「茅ヶ崎ゴルフ場」が県によって大規模に開発される可能性に面しています。

ゴルフ場といっても「茅ヶ崎ゴルフ場」の敷地は、6割は県有地。 

神奈川県(財産経営課)は、この砂防林の松も一部伐採して、道路を通そうとしています。 
 
この計画は、周辺住民の猛反対にあい、いったん開発計画は白紙に戻されたとはいえ、東急電鉄・電通グループの提出した開発案は、ホテル建設、300戸の住宅、マンション、商業施設、温浴施設・・・という大規模な開発でした。

茅ヶ崎ゴルフ場内の樹木の伐採、天然芝もはがされて、生態系の破壊につながるのはもちろんですが、住民の90パーセントは静穏な住宅環境、緑の環境を望んでいて、計画への圧倒的な「白紙撤回」の声が新聞各紙に報道されました。


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茅ヶ崎ゴルフ場内の砂防林  


〈現在、県が松枯れを放置しています〉

2020年1月1日現在

数年前から、茅ヶ崎ゴルフ場内の松が次々と茶色く枯れています。

松くい虫(マツの材線虫病)による松枯れが起きていて、海岸側の砂防林にも伝染しています。

早急に手を打たねば大変なことになるので、茅ヶ崎市議会の杉本議員が何度も県の財産経営課に対策を求めましたが、とうとう現在まで放置しています。

松が枯れる原因として松くい虫(マツの材線虫病)ほど恐ろしい原因はありません。マツの材線虫がマツを枯らすと,マツノマダラカミキリが卵を産める木が増えるので,マツノマダラカミキリが増えます。増えたマツノマダラカミキリは元気の良いマツの枝をかじり,マツの材線虫がマツの木の中に入るのを助けます。そうして,元気の良いマツがどんどん枯れていく,伝染病だからです。

県の放置で対策費用も高額にふくれあがっています。

これでマツ枯れを止められるのかも分からない状態です。


www.ffpri-skk.affrc.go.jp


津波の通路となり、「広域避難場所」は失われる

自然の防波堤にもなっている松林を伐採し、ゴルフ場の丘を切り崩して平坦にして、南北に道路を通せばどうなるでしょう・・・? 

津波の発生時には、さらに奥にまで津波を流し込むことになります。

また、駅伝中継ではヘリコプターから、上空からの茅ヶ崎の映像が映ります。

昔とはさま変わりして、びっしりと、すきまなく建て込んだ家屋の密集と、ほとんど失われた市内のみどり・・・

これが、茅ヶ崎市のクラスター、県で最大の延焼火災地域と呼ばれる木造密集地です。


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緑色の部分が茅ヶ崎ゴルフ場 


大地震の同時多発火災で、火災延焼が止まらなくなった場合、特に茅ヶ崎市の海岸側の延焼規模は県で最大です。(非公式ながら消防では日本一とも言われています。)

糸魚川での大火のように海岸からの強風にあおられた場合、火の勢いは予想がつきません。木造密集地域と、入り組んだ狭い道路、強風・・・平塚市のように延焼を止める広い道路を持たない茅ヶ崎市は、糸魚川の大火と条件が似ているといえます。

「茅ヶ崎ゴルフ場」は、この延焼火災時の「広域避難場所」(6万人)に指定されています。

住民が圧倒的に望む「静かな環境」

広域避難場所とみどりの破壊、静かな住環境の破壊、生態系の破壊など、住民の強い反対には、多くの理由があります。

(子供たちも反対しているのを、忘れないでください!)

また、パブリックコメント(市民・県民からの意見)を無視して、早急にコトを運ぼうと指示した県の財産経営課の傲慢さ。

市長は、住民からの意見の聴取よりも、「違法と判定の出された会議」で作った方針を県に提出。

県議会では、「広域避難場所や公園の確保を厳しく義務付けられると、事業提案は非常に難しくなる」という事業者の発言に同意したかたちです。 
 
スポーツとしては、ゴルフもオリンピック種目です。茅ヶ崎ゴルフ場は、ジュニアが学校帰りに練習できる、住宅街のなかに立地する数少ないゴルフ場です。

しかし、江ノ島に誘致した、東京オリンピックのヨット競技のために、茅ヶ崎ゴルフ場(=大規模火災時の広域避難場所)をつぶしてホテル建設・・・いったん計画は中止となったものの、地震大国ジャパンの「広域避難場所」を、オリンピックのために開発する行為は、五輪史上でも前代未聞の出来事として残るでしょう。


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「広域避難場所」に砂防林を指定

県と事業者が提案してきた開発案にたいして、茅ヶ崎住民が激怒した、もうひとつの理由・・・

「広域避難場所や公園の確保を厳しく義務付けられると、事業提案は非常に難しくなる」という事業者の発言を、県の議員が認めたこと。

そして、ゴルフ場内の「広域避難場所」の面積は半分に減らし、残り半分の面積のつじつま合わせとして、134号線の砂防林を住民の「広域避難場所」に指定してきたこと。 

テレビ中継ではきれいに見えるかもしれませんが、海岸側の砂防林は大きな段差があって、高齢者や車椅子は入れず、うっそうとしたヤブになっていて、人が入り込める場所ではありません。(散歩の犬でさえいやがって入りません、、)

また、いったい何をどう安全であると評価して、東急電鉄・電通グループが事業者として決まったのかという説明を、県は住民にできない状態で、まるでブラック・ボックス状態であることも大きな問題となりました。


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ここに入れますか? 海岸の砂防林 

「命を守る直接請求」

茅ヶ崎市では、大規模火災時の広域避難場所に指定されている「茅ヶ崎ゴルフ場」の開発問題をきっかけに、広域避難場所の面積として「避難者1人当たり2平方メートル」を確保しようと、防災条例の制定を市に求める「直接請求」も行われました。

「茅ヶ崎ゴルフ場」の存続を希望し、開発に反対する2万3千人の署名も集まっています。 


merimaa88.hatenablog.jp

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